2019年1月31日木曜日

2018年末、近松にて


昨年末に見に行ったライブのことを書きかけで放置してた。
なんらかの普遍性はあると思うので敢えて載せておきます。
録画放送の気分です。
それでは、どうぞ。

サボテンていうのはあるスリーピースバンドである。
来年で20周年になる。
パンク/メロコアと言ってしまえばそうなのだが、
そういうイメージだけでは表現できない部分が多い。

青臭い恋愛や哀愁の歌詞がほぼないとか、
曲中に1回しか出てこない仕掛けがよく置かれてるとか、
そういう点で他のバンドと一線を画していると思う。

曲が短いのにそんなにめんどくさい曲ばっかりなので
練習は大変でしょう。
昔の曲もよくやってるし。

MCで本人も言っていたとおり、
そーんなにめちゃくちゃ上手いわけではない。
上手いけどよ。
でもMCで本人も言っていたとおり、
一人では超絶テクではなくても、
3人で1つのバンドを作っていることに疑いはない。

僕はこういう、「バンドメンバーは固定されているもの」という観念から入った方やけど
フュージョンを聞き始めてからは、もうひとつの
「個人個人のプレイヤーが集まってもバンドはできる」という観念も持つようになった。
どちらの考えも好きだが、
やはり長年やってるバンドを見るとその輝きは
セッションバンドには逆立ちしても出せないものなのである。
絶対に無理。

それこそが、固定バンドの存続不確実性と引き換えに得られる魅力なのだと思う。

とくにサボテンはキメとかブレイクには命を懸けているように見えた。
BPMが早いのでブレイクは本当に一瞬であることがほとんどだが、
その隙間を3人で無音にする能力が高い。

あと今回気付いたのだが、少なくともフロント二人は耳栓をしていた。
最近耳栓をする演者を見かけるようになった。
なんだか寂しいような気もするが、
職業レベルで爆音出してるなら耳栓したようがいいに決まってる。
長く健康で音楽を続けるためには理にかなってる。

耳栓について少し調べてみると、
「耳栓をしたほうが、余分な反響がカットされて演奏がしやすくなることもある」
とのことだった。
僕もスタジオで練習し始めた頃は耳栓をしていたが、
すぐにやめてしまった。

健康診断レベルの聴力検査では引っ掛からないものの、
ある機会に精密検査を受けたときはさすがに指摘された。
耳栓しときゃよかったなーと思う。
この場合、聴力の細胞は基本的に戻らないので。

そして、最近CDを買わなくなってしまったので
ライブを見てるとき知らない曲も結構あって、
うわー音源ほしいなと思った。
コレクションとしてではなく、
純粋に「この楽曲を好きなタイミングで、家で、電車でもう一度聞けたらどんなにいいだろう」
と思ったのである。

そんなのは久しぶりの経験だった。
弾き語りのライブでこう思うことはほぼないのだ。
ただし、それは弾き語りの「良さ」のせいでもある。
ライブで歌詞も演奏も聞き取れるし、
CDを聞いてガッカリということが往々にしてあるからだ。
ライブこそが原型なんじゃないのか。一説によると。

でも弾き語りでも音源を欲しいと思ってもらいたい。
そのためにはどうしたらいいのか、
切り口は色々ある。
うーんしばらく考えよう。

はっきり言ってサボテンはめちゃくちゃ売れてるわけでもないと思う。
なのにこんなに続けてくれてほんとにありがたいもんである。
あんまし売れないことをしてるぶん、コアなファンは減りにくいのかも。

そういえば今回は何故かおにぎりを無料配布っていた。
ドラムの人が100個くらい握ったらしい。
具の無い塩味。

このライブの直前の関西のライブでもやったらしい。

MCで理由は語られなかった。語らないことに意味があるのだ。

語らないことに意味があるっていう内容は語ってた。