2018年7月22日日曜日

君って


オバタケンの歌詞ではほとんどの場合、二人称が「君」だ。
絶対に君がいいっていうよりも、「あなた」ではゴージャスすぎて気が引けるという理由だ。

まぁでも僕はこの「君」っていうのが漫画っぽくって好きなんだなぁ。
女の子が歌で「君」って言うのは好きだなぁ。

小学生のころ幼馴染みが冗談でよく「君は?」と聞き返したりしていた。
でも「君」呼ばわりされるのが嫌だという人もいるから油断はできない。

しかし日本語の歌詞ではよく「君」が登場するのに
日常会話では違和感があるってのは変や。

僕が韓国語をよく勉強していたころ、
少女時代の歌詞の対訳で単語を覚えていた。
「君」は韓国語で「クデ」という。
オーストラリアで韓国人たちと遊んでいて、あるとき
「you」は「クデ」だろ?という話になり、
そこでは韓国人の間で意見が割れた。
クデなんて歌以外で言わないだろ。
いや、クデって言うだろ普通に。

韓国語では日常会話で親しい「君」のことを「ニ」「ノ」と言えるので、
日本語とは事情が少し違うかもしれないが、
すごく近いんじゃないかなーと思った。

ところで英語では「君」も「あなた」も「キサマ」も「you」なんだろ?
と落語でからかわれたりする。

けれどもyouの選択肢はyouしかないだけに、
話者の間柄やシチュエーションによって全く違う雰囲気を帯びる。
英語を身に付けるときの醍醐味のひとつと言ってもいい。

罵倒されるときのyou、面接の時のyou、名前がわからないのでとりあえずyou(便利)、親からのyou、親へのyou、恋人になってからのyou、取り扱い説明書に出てくるyou(形式上主語が必要なので、意味もなく頻発する)、誰もとなく一般大衆を指すyou。

でも、「I」はこんなに幅を感じないのだ。
これまた不思議なんだが、
myやmeにはニュアンスの幅を感じる。

日本語における一人称の多様性はほんとにもっと世界に知られたい。
知れわたってるんかな?
他にこんなに一人称が多い言語あるんかな?

ところで、諸ヨーロッパ言語では二人称は
丁寧さにあわせて「君」と「あなた」にあたる二段階が存在する。
スペイン語の授業で、文章の日本語訳を説明するときに
「君は~」と先生が言ってて
君って言わんやろ。と思ってた。

言わんやろって話になってくると
日本語ではそもそも二人称を日常会話で使わないので大変だ。
日本語教師はそれについて伝えているのだろうか。
だろうな。
役割、役職、立場の名で呼んだりするよな。
友達やと名前やニックネームし、呼び方がわからんときはごまかしたりするし。
なぁなぁ、ねぇねぇ、って。