2018年10月12日金曜日
安いからって喜べない話
「昔お世話になったから」とか、
そういうのは基本的にはどうでもいいと思っている。
そのお世話は違う誰かに返せばいい。
あるいは、お礼の気持ちはそのときに完結してしかるべきだ。
が。
メルボルンで仲良くしていたアジア人グループがあって、
その中にタイ人が何人かいた。
そのうちの一人を仮に葵(あおい)ちゃんと名付けよう。
日本からオーストラリアのワーホリは拍子抜けするほど簡単に実現できた。
ビザなど、自動返信なのか?と思うくらいすぐ取れた。
タイからオーストラリアへのワーホリは
いろいろ制限があり日本ほど簡単ではないらしい。
しかも物価もかなり高く感じるだろうから
来ている人は多分エリートか金持ち寄りなんだろうと思う。
そして僕がタイに行ったとき葵ちゃんとその友達が
街を案内してくれたり、食事をおごってくれたりした。
食事ってのがタイにしては高いレストランだったのだ。
日高屋より全然高い。
五右衛門くらい高いよ。
日本人でも高いと思うのにタイ人からしたらかなり高いだろうよ。
僕もビジターにはおごりたいし、
おごってもらうこともよくあるが、
それはさすがに悪いと思った。
そんな葵ちゃんが関西に旅行に来ようとしているらしく連絡をくれた。
5日くらい滞在するらしいが、
やはり日本旅行は高いと言っている。
一応難波の安宿を紹介したが、
日本に来てこんなショボい宿に泊まらせるのも気の毒に思ってきた。
女子3人みたいなので最終的には
おそらくもっとましなところに泊まるだろう。
***
日本ではそこそこ品質のいいものが安く手に入るし、
それが当たり前になっているが、
社会人になってからそれについて素直に喜べなくなっていった。
物価の違いとはなんなのだろうか。
新卒で入った製造の会社では、
中国ではもう昔ほど安く作れないから、
マレーシアに工場を移管するとかそういう段階だった。
もちろん日本では高すぎて作れないのだ。
安く作る→安く売る→給料が安い→安いものしか買えない→また企業が安く作る
オーストラリアの市街地ではいろんな国(と地域)の人と会えたので
やっぱ物価が安い国から来た人は大変なんやなぁと思うことが多かった。
オーストラリアとの物価ギャップに関してアジアでは日本がいちばんましだった。
イングランドの女が
「アジア好き、(おれ:日本は行ったことある?)あっ東南アジアね、安いからさ~」
って言っていたのは本当の話である。
世界の資本主義が物価の安い国を搾取しているのではないか?
と思いつつも、既得権は手放したくないというのが普通の人間の気持ちやな。
残念ながら。
いずれにせよ今さらどうしようもない。
ただ、ちゃんと調べてはないけど
日本とオーストラリアの物価はあんまり変わらないのに、
バイトの最低賃金は日本よりオーストラリアがはるかに高かった。
そのかわりと言ってはなんだが、
安くて質のいいものってのはほとんどゼロに近かった。
高くて質の悪いものはいくらでもあったけど。
店員もいい加減やし、
でもそこそこ値段がするということは
そこそこ給料がもらえているということは
日本とぜんぜん違う循環になっているはずだ。
高く作る→高く売る→給料が高い→高いものでも買う→企業は値下げ努力をしない
資源もあるだろうから産業の事情は違うんだろうけど。
他にもさまざまな要因があります。
(深入り中止)
***
そういうことを考えて、
あー葵ちゃんに何か御馳走してあげたいなと思っているところ。
責任があるようにさえ感じてしまっている。
タイに行ったとき日本関係の事柄で一番ビックリしたのが、
やたらと北海道旅行の広告があることだった。
北海道じゃなくても、タイとは気候が違うから来るだけで面白いかも。
春には桜が咲くからオススメしたい。
「日本は年中美しい」と言ってくれている。
そうなのかしら。
日本には四季があるのかしら。
いや、四季があるのは日本だけじゃないぞ。
でも四季がない国もあるぞ。
オーストラリアは季節によって景色がガラッとは変わらんかったし。
やっぱり日本は四季がある国らしい。
まあそうは言っても葵ちゃんが関西に来る時期に
僕が帰省できるとは限らんのである。
なんしか楽しんでくれたらいいな。
ところで「外人」はあかんから「外国人」って言えっていう風潮があるけど、
その割には「様々な国と地域から集まった~」とかそこは丁寧に気を遣うよな。
国と認めてたり認めてなかったり、立場がいろいろあるからな。
じゃあ外国人より外人なのでは。
あるいは国外人なのでは。