2016年8月30日火曜日

つかずはなれず

僕個人の感想ですので、参考にはしないでくださいね。

今で2年ほど薬剤関係の翻訳をやってきて、
薬の在り方に対しての理解が深まったつもり。
最近思ってることをまとめ書き。

薬はめっちゃ大雑把に言って、2つに分けられる。
1. 出てる症状だけをごまかすやつ
2. 症状が出ている原因の解消を目指すやつ

風邪薬なんか飲むな論争があるのは、
風邪薬が1だからである。

風邪は菌やウイルスによって起こる。
でも風邪薬に入っている成分は、基本的には、
熱を下げる・痛みを取る
くしゃみ、鼻水を止める
咳、痰をやわらげる
という効果のあるものだ。
つまり、
菌やウイルスを殺してはくれない。
*39度や40度とかになるとさすがに薬で解熱したほうがいいっていう話あり。

菌やウイルスを殺す薬はないのか?と聞かれるかもしれん。

どんな菌にも効くという殺菌剤はないし、間違った使い方をすると薬に慣れてパワーアップした菌が生まれてしまうから、あまりむやみに使えない。
(現にそれで世界的に使いものにならなくなった抗生物質もある)
あと、基本的にはウイルスを殺す薬はないらしい。抗ウイルス薬というのは、増えるのを抑えるのが仕事だ。
(菌とウイルスはけっこう違う)

最近咳が長引いていて嫌だったのでさすがに咳止めの薬を買った。
成分を見てみると、痰を取る、咳を止める、呼吸がしやすくなる成分が入っていた。
ええっ飲んでる間咳止まるだけで風邪治らんやん!って思えた自分に関心した。
風邪を治す要素ないやん。
なんでこんなことに今まで気付かんかったんやろう。

結局、風邪菌を退治するのは自分の中にある細胞たちであるから、
栄養のあるものをしっかり食べて寝るのがいちばんの近道なのだ。
それを知りながらも薬を飲むのは、他にやりたいことがあるからである。
家で寝てるんじゃなくて出かけたいし仕事をしたいからである。

咳が止まったら、鼻水が止まったら風邪が治ったと思ってしまいがちやけど、
それはカツラかぶったらあらまぁハゲが治りましたって言ってるようなもんである。

自分の毛が生えなけりゃハゲが治りましたとは言えないだろう。
あるいは植毛でも構わない。

カツラはいずれ使いものにならなくなるし、ムレやズレ、バレなどの副作用もある。

仕事である種類の糖尿病治療薬について知った時に、
これ治療ってうか、薬飲んでる間症状なくなるだけやん。と思った。
つまり、「治療」にも実は2種類あって、それはまるっきり最初に書いた1と2やねんな。
根本的に直す治療としては運動療法や食事療法が行われてた。

アレルギー性鼻炎や喘息などに使う薬はちょっと違う。
あれは根源治療が簡単ではないから、ひどくなったときに薬を飲んでごまかすのは大事だろう。
症状をやわらげないと他の病気になってしまったりもするしな。
そういう意味で風邪薬みたいなのを常備してるのはいいと思う。
ていうか人生は意外と長いから、面倒な治療であっても治るアレルギーは治した方がいい。
治ってから、今までなんてことをしていたんだ、と思うはずだ。

ネットや本屋では、抗がん剤は実は効かないなんて話もたまに見るが、
まぁなんとも言えない。
抗がん剤は必ずしもがん細胞を死滅させないからだ。
アプローチとしては、だいたいが、がん細胞の増殖を抑えるというものが多い。
つまりあとは自分の生命力やんか、と思った。たぶんな。
すべての人に効く薬なんてないし。
がん細胞はコピーミスみたいなもので、健康な人でも作られてるけど普段はちゃんと丸めてポイされているらしい。
よく言うけど、落ち込まずに元気に生きてる方がいいのはほんまみたい。


あとみなさん、(まだ読んでる方がいたら)
薬は意外と「なんか知らんけど効く」とか、
「これがあれして、こうやって効く、と、考えられている」というのが正式な説明になっているものが多いです。
結局は自分の責任で使うもんやと思います。
昔の人は薬がなけりゃすぐ亡くなっていたはずですから、それと比べてどちらがいいか。

薬の開発については、動物実験が欠かせない。
そりゃ、良いことだとは思えない。
動物実験絶対反対!という意見もあるが、
じゃあ薬の開発はストップなんです。
僕はむしろそれでもいいと思いますけど。(仕事なくなるけどね)
動物を使わなくても作れるだろ、と主張する人もいる。
その場合は臨床試験は投与される人の人権を無視したイチかバチかのものになる。

だから薬を使うときは心して使わないといけない。
動物に関して言えば、薬に限らない色んな製品の開発段階でいろいろ実験台に使われてるんじゃないだろうか。

また、治る病気が増えてくると、その分みんな長生きするので、新しい病気が増えてくる。
それに対してまた新薬のニーズもできるから、ビジネスやなぁ。

なんかそういうビジネス感は全然ショウに合ってないねんけど、
薬の種類と患者さんの若さとかによっては翻訳しながら、
あ、治ったんや~よかったよかった。って思えたりするから、そういうのは嬉しい。

寿命は延びなくていいから、苦しみが減ればいいなって思う。

薬学検定に毛が生えた程度の知識で書きました。
正解も間違いもたくさんあると思います。
知識にカツラはありません。

おやすみなさい。